愛媛新聞社への抗議活動

下記は愛媛新聞10月24日の社説です。

道徳の教科化 価値観押し付けの不安拭えず 2014年10月24日(金)

 現在は正式な教科ではない小中学校の「道徳の時間」が2018年度にも、教科に格上げされることになった。他の教科と同様に、国の検定教科書を使い、授業は原則として担任が行う。評価制度も導入し、数値ではなく記述式にするという。子どもに特定の価値観を押し付けることになりかねず、なぜ教科化しなければならないのかという根本的な疑問が拭えない。再考を求めたい。
 道徳の教科化は7年前、第1次安倍内閣の教育再生会議でも提言されたが、当時の中教審で慎重論が相次ぎ、見送られた経緯がある。
 ところが今回の中教審は目立った異論がなく、教科化を認めた。社会情勢や教育環境が大きく変化したわけではない。教科化に賛成する委員が多数を占める有識者会議が、検定教科書と評価の導入を盛り込んだ報告書を作成したため、中教審が審議する前に教科化が「既定路線」になってしまったからだ。
 集団的自衛権行使容認を閣議決定したときと同様、有識者会議や懇談会の答申を「お墨付き」にする手法だ。自動的に政府が望む結論が導かれる仕組みは、国民を軽視しているとしか思えない。
 現在「教科外活動」の道徳は検定教科書がなく、教科書会社の副読本や独自につくった資料などが使われていることになっている。
 でも現実には、文部科学省が今年4月に作成配布した道徳教材「私たちの道徳」が全国の小学校の約93%、中学校の約83%で主な教材として使用されている。教科化されれば、新しい検定教科書を使わざるを得なくなり、授業の幅を狭めることになろう。
 一方で、答申は「特定の価値観を押し付けることは、道徳教育に全く反する」「多様な価値観と向き合い、考える力が大事だ」と強調する。教科化は、こうした精神と明らかに逆行する。矛盾していると言わざるを得ない。
 その教科書も、検定基準を細かく規定すれば「国定教科書」という批判を招きかねない。逆に緩やかすぎると極端な主張の教科書が出てくる可能性がある。「基準」づくりは容易ではあるまい。
 最大の問題は、子どもの心の内面をどう評価するかだ。こちらも基準はなく、教員の価値観で左右される恐れがある。そして子どもの側も「迎合」する可能性がある。「多様な価値観と向き合う力」が大事なら、そもそも評価などできないはずだ。
 週1時間の授業数は変わらない。となれば、今回あえて教科化を進める文科省の意図がまったく理解できない。万が一、安倍晋三首相が唱える「愛国心」教育を押し付けるための布石なら、断固として反対する。




上の社説に対して、私たちは愛媛新聞社に対して、電話やメール、また投稿を通して抗議しました。
何故、道徳の教科化が特定の価値観の押しつけになるのか?
また、愛国心を教えることがなぜいけないのか?
特に最後の「愛国心教育を押し付けるための布石なら断固として反対する」という点について
納得がいきません。

そこで、愛媛新聞社の社長。・社説担当者に対して、公開質問状を出しました。

<公開質問状>          平成26年10月30日

 

愛媛新聞社 代表取締役社長 土居 英雄様     

社説担当・論説委員様

 

拝啓

紅葉の候 貴社におかれましては益々ご清祥の段 心よりお慶び申し上げます。

 

さて、10月24日付けの愛媛新聞・社説「道徳の教科化 価値観の押し付けの不安拭えず」を拝読し、疑問に思うことがありましたので、質問させていただきます。

 

@道徳の教科化が何故子供達に特定の価値観を押し付けることになるのですか?

 

A子供達に「愛国心」を教えることは当たり前のことではないですか?

 

B何故、「愛国心」教育に断固反対なのですか?

 

 

以上の3点について、 お忙しいとは存じますが、二週間以内にご返事を戴きたく、宜しく御願い申し上げます。

(回答返信用切手同封)。       敬具

                                

 

〒799−3111

             伊予市下吾川675

             田中直子

 

 


下記が公開質問状に対する回答です。


                                      
 2014年11月4日

   田中直子様

いつも愛媛新聞をご購読いただき、ありがとうございます。
10月24日付社説について、お答えさせていただきます。

@社説に書いてある通り、教科化により教科書を決めて、評価することに反対しているわけです。田中様も2013年5月16日付の「門」欄への投稿で書いておられますが、今まで通り「他の教科と違って成績をつける必要ななく」「他人と点数を競う必要のない教科」ならば、こうした指摘はいたしません。教科書を決めてしまうことも、中教審が掲げる「多様な価値観に向き合う」ことに反すると考えます。

AB子どもたちに愛国心を教えることに反対しているわけではありません。それを「押し付ける」ことに反対しているわけです。


                           愛媛新聞社 論説委員室




今回、政府が教科化する方針を出した時に、点数で評価はしないとしています。
また、回答はすり替えをしているように思いましたので、第二回公開質問状を出しました。


第二回公開質問状>       平成26年11月7日

 

愛媛新聞社 論説委員室 御中

 

前略

 

早速の回答をいただき感謝申し上げます。

再度の質問をいたします。

 

@「教科化により教科書を決めて、評価をすることに反対」とありますが

 では、評価をしないならば教科化に反対はしないということですね。

 

 私の平成25516日付けの投稿を引用されていましたが、私は成績をつける必要はなく他人と点数を競う必要のない教科であっても、教科化には大賛成であり、教科としての道徳は決して価値観の強制になるとは思わない」と書きました。

 

 

A教科書を決めることが「多様な価値観に向き合う」ことに反するとのことですが、教科書は検定に通ったものの中から市町村の教育委員会が一つの教科書を採択しています。教科書については色々異議もありますが、採択されるのは一つの教科書です。

教科書は必要です。

副読本も併用してもらいたいと思います。

 

B「愛国心を押し付けることに反対」とのことですが、愛国心を子供達に持ってもらうためには教えることが必要です。

子供は生まれた時は真っ白状態なのですから、教えなければ分からないことがあります。

道徳もそうで、教える必要があるのです。

アメリカでは授業の前には、胸に手を置き忠誠の誓をすると聞いています。

日本ではここまではしませんが、国旗掲揚・国歌斉唱は旗及び国歌に関する法律として、1999年(平成11年)813日に公布・即日施行されました。

愛国心を教えることは押し付けることにはなりません。

 

では回答を10日以内によろしくお願いいたします。

 

 

                  〒799−3111

                  伊予市下吾川675

                  田中直子



14日時点で、第二回公開質問状への回答はまだありません。